仏教と雅楽
雅楽といえば、宮内庁や神社というイメージがあり、お寺で雅楽というと意外に感じられるかもしれません。
そもそも、雅楽は、聖徳太子の時代に仏教と共に中国大陸及び朝鮮半島を経由して伝わってきたと言われています。
奈良の「東大寺」では、天平時代の聖武天皇による大仏開眼供養の際に雅楽が演奏されたとの記録が残っています。また、大阪の「四天王寺」では、聖徳太子の命日に行われている千四百年の歴史を持つ聖霊会において、声明法要と舞楽が一体となった古の大法要を今に伝えています。
文化財においては、国宝にあたる知恩院所蔵の『阿弥陀二十五菩薩来迎図』や高野山所蔵の『高野山聖衆来迎図』に、阿弥陀如来の周りを囲む菩薩が笙や篳篥・龍笛・鞨鼓・太鼓・鉦鼓等を奏でながら極楽往生を願う者の前に現れる姿が描かれています。
世界遺産でもある京都の宇治の「平等院鳳凰堂」にも、木造の阿弥陀如来坐像を取り囲むように壁を飾る浮き彫りの菩薩像の雲中供養菩薩像52躯が配置され、その内の27躯が笙や篳篥・龍笛・鞨鼓・太鼓・鉦鼓等の楽器を奏でる姿があります。
そして、雅楽の曲の中には、仏教に関連する曲名が付いたものや曲の背景に仏教と関連するものがあり、『迦陵頻』・『菩薩』・『陪臚』・『散手』等がそれらに当たります。舞楽の『迦陵頻』では、子供が五色の鳥の羽を付け、手に打楽器の銅拍子を打ち鳴らし、飛び跳ねる動作を繰り返しながら舞います。これは、極楽浄土にいる鳥の迦陵頻伽が、釈迦が説法をする道場に飛んできて舞った様子に由来していると言われています。
さらに、浄土真宗が拠り所としている経典「浄土三部経」の中の『仏説無量寿経』には、「咸然奏天楽暢発和雅音(咸然として天の楽を奏し、和雅の音を暢発して)」と、『仏説阿弥陀経』には、「又舎利弗彼佛国土常作天楽(また舎利弗、かの仏国土には、つねに天の楽をなす)」とあり、阿弥陀仏の極楽浄土の世界には雅楽が奏でられていることを説いています。
このことから、仏教と雅楽には、昔から深い関係があります。
寺院での様々な法要の際に雅楽が演奏されることによって、極楽浄土の世界をイメージする助けとなれればと感じます。
参照 『雅楽のひみつ』・『仏教と雅楽』・『雅楽のコスモロジー』
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