節目
梅から、河津桜へと花の盛りの移り変わりが春を感じるようになりました。
大人になると同じことの繰り返しに慣れ親しんで「今年もこの季節がきたか」で日々を過ごすようになりがちですが、年度末の忙しさの中で中高生の卒業のニュースを目にすると、人生の節目を迎えた時のことを思い出すことも大切だなと…。
人生の節目は終わりであると同時に新たな人生の始まりです。それまでの積み重ねの成果の結果です。
新生活に心を弾ませている人もいれば、人生の進路に迷いを抱えている人もいるでしょう。
新たな人生を歩み始めると、それまでと違うペースに戸惑う事でしょう。
「イメージと違う」「こんなはずじゃなかった」結果、すぐに学校生活やキャリアをリセットしたくなった人も多いのでは…。
先日、お坊さん仲間の一人から「今日は楽だった。」と一日の感想をもらしたら「それは周りに迷惑をかけたな。」と父親に窘められたそうです。
「どうゆうこと?」
「仕事や勤めはしんどいぐらいでちょうどええんや。」
「なんで?」
「端(はた)を楽(らく)にさせるのが働くいうことやから、しんどいぐらいがちょうどええんや。」
人生の節目というのは、自分がどうありたいかを問う絶好の機会であり、ただ悩むのではなく、どう悩むかが大切なのではないでしょうか。
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なぜ430ヘルツなのか?
ヘルツ(Hz)は音の周波数を表す単位で、1秒あたりに繰り返される音の振動数を表しています。現在、雅楽・声明はA(黄鐘)=430ヘルツで標準化されています。
明治6年(1873)、当時の文部科学省に相当する部署が、英国の音響学者エリス(1814~1890)を招聘して、当時の宮内庁楽部の雅楽の周波数を調べています。その周波数はA(黄鐘)=437ヘルツでした。
昭和14年(1939)ロンドン国際会議でA=440ヘルツと定めた「万国標準高度」(ユニバーサルピッチ)と極めて近いものでした。また、安政6年(1859)パリの国際会議でA=435ヘルツと定められた「国際高度」と比べても近いものです。
430ヘルツが定められたのは、日本雅楽会の初代会長である押田良久氏によって昭和48年(1973)です。押田氏は合奏練習中に笙奏者の音が異なっていたことに気づき、洋楽のAの音に相当するのは、雅楽では黄鐘の音に近いので、洋楽の440ヘルツに対して、どのくらいの振動数が正しいのか調べました。大体のところで黄鐘を430ヘルツとし、これを基準として計算で割り出し、平調の音を645ヘルツとし、昭和43年8月にビブラフォーンや木琴などの有鍵打楽器の製造をしているコッス楽器研究所に依頼して、その音叉を10本製作しました。その音叉を京都で雅楽の龍笛を作っている福田泰彦氏に一本送って、正しい音にあっているかどうか調べてもらいます。
家に代々伝わっている笛の長さに吹口と指孔のところを目盛りにした物差しを基準にして制作しておられたので、今までは目で作っていた龍笛と音叉の平調が645ヘルツでピッタリと音があったと返事をいただき、これで自身をもっての雅楽の標準音高が決まったと「雅楽とその標準ピッチの決定 日本雅楽会会長 押田良久」『伝統と文化』に書かれています。
音叉やチューニングバーの普及もあり雅楽だけでなく声明に於いても430ヘルツで唱えることとなったと思われます。
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準備
令和7年も始まってあっという間にひと月が終わってしまいました。
日本の仏教寺院では、12月31日は1年の締めくくりの行事として除夜の鐘を撞きます。除夜の鐘を撞き終わると今度は新年最初のお勤めとして1月1日に修正会が勤められます。
二日にわたり節目の行事が続き、ご門徒さんや地域の方などお寺には多くの人の出入りがありますので、新年が始まってしばらくは気を抜く間もなく過ごします。人の出入りも落ち着いてきた頃、気がつくともう1月が終わってしまったということになります。
1月から4月までは入試や卒業式、新天地への引っ越し、入学式など次々と行事が駆け抜けていきます。
大リーグの大谷選手をはじめイチローさんなど超一流といわれる選手に共通していえることは、いつでも常に準備を怠ることなく、毎日を過ごしているということです。
2月もあっ言う間に過ぎ去っていきますが自分を見失うことなく、また常に準備を怠ることなく過ごしていけたらと思います。
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今年の漢字
12月12日に今年の漢字として「金」の文字が選ばれました。「金」には、光を表す「金(キン)」と影を表す「金(かね)」の2つの意味が込められているそうです。今年を振り返ってみますと、大谷選手やオリンピック、パラリンピックでの日本人の活躍など「金(キン)」に関する明るいニュースがあった一方、政治の裏金問題や金目当ての闇バイト強盗など、「金(かね)」に関する暗いニュースがたくさん流れた一年でありました。
私たちの心を悩ますものの一つに貪欲というものがあります。もっと欲しい、もっと欲しいというむさぼりの心です。世間では、“どんよく”という意味で使われていますが、仏教では“とんよく”と読みます。欲というのは、自分が目標をかかげて向上するうえで大切なものでありますが、欲に溺れると、本当に大切なことを見失ったり、自分の欲のためだけに行動して他人を傷つけたりします。「お金を使ってもっと名誉を得たい」、「お金をどうにかして手に入れたい」、そんな「金(かね)」に対するむさぼりの心が今年の暗いニュースを引き起こしたのではないでしょうか。
本日、除夜の鐘をつきながら自分自身のことを振り返って、心あらたに新年を迎えたいものです。

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お講勤め
今年も京都の本山興正寺にて十一月二十一日から十一月二十八日までの八日間報恩講が勤められます。それに先だって各寺院ではお講勤めをお参りします。
地方によってはお引き上げやお取り次ぎとも呼ばれていますが、このお講勤めとは報恩講勤めのことで、浄土真宗の開祖である親鸞聖人のご命日の法要を御門徒様のお宅に一軒一軒伺い、ご家族とご一緒に親鸞聖人の御遺徳を偲び、お念仏のみ教えに生かされている事を喜び、確かめ合う古くから最も大切にされてきた仏事です。私が住んでいます香川県では御門徒の方とご一緒にお正信偈を勤めた後、御勧章を拝読する流れが一般的です。
なかなか家族そろってのお参りが難しい時代になってきておりますが、一年に一度の大切な仏事ですので、ご都合を合わせてお参りしていただければと思います。また各寺院での報恩講にも足を運んでいただき、仏様のお心に触れていただければと願っています。

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