桜の季節に想う

 2月の凍えるような寒さから3月は毎日暖かい穏やかな日が続いております。
 春がきたんだなと思い日々生活していると、ふと境内の桜の木が目に止まります。
 この桜を見ると、ある言葉を思います。
 明日ありと 思う心の あだ桜
   夜半に嵐の 吹かぬものかは

 この言葉は親鸞聖人が九歳で得度を受ける際に詠ったと伝えられています。
 聖人が僧侶として生きることを願って比叡山の青蓮院を訪れた際、夜遅かった為に慈円僧正から「夜も遅く疲れているだろうから得度式は明日にしてはどうか」と促されました。しかし、親鸞聖人は命について「明日がある」と思い込むことを、いつなんどき散ってしまうかもわからない桜に譬え、夜に嵐が吹けばどんなに満開の桜でも散ってしまうと歌にしました。私達の命は桜に喩えられるように、非常に不安定な存在です。
 明日にしようでは、遅いかも知れません。
 今出来ることを一生懸命する。後悔のないように生きる改めて考えさせられる言葉です。