ちいさい秋見つけた

 今年は例年にも増して長い夏でしたね。近日やっと朝夕涼しくなって、急に夏から秋への季節の移ろいを感じています。

 先日、きれいな彼岸花を見つけました。仏花に彼岸花は使用できません。なぜなら毒が含まれているからです。仏花には、四季それぞれの花を供えますが、トゲのある花や悪臭のある花は避けるものとされています。しかし、水田や畑の近くに植えられているのは、虫やネズミ、モグラなどが毒を嫌って避けるようにするため、食物を守るためといわれています。毒のある花でありながら、その毒を活かして人々の役に立ち、またその美しさは人々を魅了します。花言葉は花の色によっても若干異なりますが、「また会う日を楽しみに」という花言葉もあるそうです。調べているうちに、心があたたかくなりました。

 仏花にできなくても、別の花瓶に活けて、ぜひ秋を感じてみてください。皆さんはどのように秋を感じられているでしょうか?身の回りにちいさい秋はたくさんありますので探してみてくださいね。



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雅楽からきた日常の言葉

雅楽の演奏技法や音楽用語などに由来して、現在の日常生活で使われる言葉があります
今回、雅楽からきた日常の言葉を五つ紹介します。


塩梅(あんばい)
○意味…物事の具合や様子また、程よい加減の時に用いられます。
一般的には、料理での塩と梅酢の加減からきたといわれています。
雅楽で古くから、篳篥の奏法に使われています。
同じ孔(穴)の音でも、吹き量や唇の位置を加減することで、音程に幅(高低やスラー)が出せます。
この奏法を「塩梅」(えんばい)といいます。 


打ち合わせ
○意味…前もって相談すること、下相談することをいいます。
昔、京都・奈良・大阪(天王寺)には、それぞれ楽所(雅楽団体)があり、「三方楽所」と呼ばれていました。
それら三方楽人が奏楽のために一堂に召し出された際、微妙な演奏法を調整する為、前もって集まり、まず打楽器から約束事を取り決めたことによりできた言葉です。
なお、明治以後、三方楽人らが一つにまとまり、現在の宮内庁式部職楽部となりました。


楽屋
○役者などが化粧をしたり衣裳を着けたり、準備をする場所を楽屋といいますが、本来は雅楽の楽人の奏楽する場所でありました。
昔、庭に舞台を造る時は、楽屋は舞台のそばに仮設したり、回廊に幕をはり楽屋としました。
楽屋は、舞台より3間余り後に、横3間、奥行4間余りとし、前の方を管方の演奏する場所、後を屏風で隔てて舞人が装束を着ける場所としました。
楽屋は文字の通り音楽を奏する場所でした。


千秋楽
○意味…物事の終わり、芝居や相撲などの興行の最後の日のことをいいます。
後三条天皇か、近衛天皇の大嘗会に作られた曲です。
唐楽で盤渉調で後に黄鐘調にも移調されます。
舞楽法会などの最後には、この曲を演奏することが多かったようです。
相撲や芝居の最終日を千秋楽というのは、このことからきています。


ろれつが回らない
○意味…酒に酔い過ぎ、舌がもつれてうまく話せないことをいいます。
雅楽の旋法には、「呂」(ろ)と「律」(りつ)というものがあり、それぞれの音階に基づいて演奏されます。
その「呂」「律」の音階を間違えると訳の分からない曲になってしまうことから、「ろりつ」がなまり、この言葉ができたといわれています。


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お盆を迎えて

 猛暑の中、今年もお盆を迎える時期となりました。
 お盆ということでお墓参り、お墓の掃除に行かれる方も多いと思いますが、どうぞ熱中症に気をつけて無理の無いようにお参りいただければと思います。

 さて、お盆を簡単に説明しますと、お釈迦さまの弟子で目蓮という方の亡くなった母親が餓鬼道に落ち、そこから救い出すため、お釈迦さまの教えのとおり行者に施しを行うことで母親を救い出すことが出来たそうです。その事を歓んだことが始まりとされています。また歓びのあまり目蓮が踊ったことが盆踊りの始まりといわれています。

 お盆は改めてご先祖様や仏様に向かい合う大事な行事です。また盆踊りをはじめ受け継いできた様々な文化に触れるご縁ともいえるでしょう。お互い、日頃は思いをはせる事が出来にくい事に、心を向けることが出来れば、ありがたいと思います。



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雅楽の春夏秋冬

 雅楽には、それぞれの季節にふさわしいとされる調子があります。例えば春は双調、夏は黄鐘調、秋は平調、冬は盤渉調です。

 春にふさわしいとされる双調は、新芽の芽出しや若葉の息吹を思わせる明るく軽快な響きがあります。夏の黄鐘調は、太陽の強い日差しや生命力あふれる様子を表現しているとされ、力強く輝かしい響きがあります。秋の平調には、紅葉や収穫の時期を思わせる落ち着いた穏やかな響きがあります。冬の盤渉調は、冬の静寂や寒さを表現しているとされ、荘重で厳かな響きがあるとされています。


 また、それぞれの季節をつなぐ調子として一越調があり、季節の変わり目にふさわしく、またすべての調子の中心となる調子とされています。これらの考え方は長い歴史の中で育まれてきたもので、日本人の独特な感性により生まれてきたといえます。私たちのご本山でも、主に4月(春)と11月(秋)に主要な法要がありその中で雅楽が奏でられますが、やはり季節にふさわしい調子や曲を選び、また法要の趣旨に合わせた曲を演奏します。

 以前、「法要で演奏される雅楽なんてどれも同じに聞こえる」と言われたことがありました。確かにそのように聞こえるのかもしれませんが、心を静めて聞いてみると雅楽が持つ独特な雰囲気が、寺院という宗教空間と融合してなんともいえない幽玄な世界を表現してくれます。全部同じに聞こえても、実は調子や演奏される曲にはそれぞれに由来や意味があるということを忘れないでほしいと思います。


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篳篥について

今回は、篳篥(ひちりき)という楽器について調べてみました。(下の写真の楽器です。)
篳篥は西域(中国人が中国の西方にある国々をよんだ総称)起源の楽器で奈良時代直前に中国から日本に伝わったといわれています。大篳篥と小篳篥の区別がありましたが、10世紀には小篳篥だけが残りました。


 篳篥は漆を塗った竹の管で作られています。表側に7つ、裏側に2つの指孔(ゆびあな)をもつ縦笛です。それに蘆舌(ろぜつ)というダブルリードのような形状をしたものをつけて吹きます。

 蘆舌(リード)の作り方についても調べてみました。乾燥した蘆(あし)という草の管の一方を熱を加えてつぶし、つぶした方に世目(せめ)とよばれるものをつけます。世目は、籐(とう)というヤシ科の植物を四つに割って、間に切り口を入れて折り合わせて括った輪状のものです。つぶしてない方には、篳篥(管)と蘆舌(リード)の隙間を埋めるために図紙(ずがみ)とよばれる和紙を何重にも巻き付けます。

 篳篥は小さい楽器ですが、音量が大きく、音程も自由に出せるので、合奏では主旋律を担当します。篳篥は、指使いを変えずに、唇や息の調節により、上下一音以上の音程を変化させることができるので、それを利用して、リードのくわえ方と息の強弱、また指使い等の組合わせと調節によって、旋律になめらかさと、すり上げ風の効果を与えながら、必要なアクセントやリズムを与えていく楽器です。

(以上 Webサイト「和楽器ひろば」さんの記事を参考にしました。)


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